災害防止における「上司の役割」
各種の災害防止活動を実際に行うのは、実施事項に一番近いそれぞれの担当者です。ですから、担当者の上司は、担当者に実施事項について具体的指示を行うべきですし、実施のために必要な知識付与や、必要な訓練を行うべきです。
でも、「上司」が全てを具体的に指示する能力を有しているとは限りません。その場合は、担当者に意見を求め、具体化のために必要な対応などを相談し、また、担当者に内容の具体化を任せるべきです。その際、大切なのは、担当者の発案や意見について、その内容をしっかり把握し、わからないことは質問し、理解し、そのうえで不足と思う部分の追加を求め、最終的に「上司」の考え方と一致できること、上司が納得できることです。
そして上司として最終責任を持つことを担当者に明確に伝えることです。結果については、指示した「上司」が具体的実施事項に責任を持たなければなりません。
まちがっても、自分が不明なことを不明のまま担当者に指示し、その不明部分に自ら関与することなく担当者の判断に委ねてはなりません。
「上司」の更に「上司」は、同様に、「実際に行われていることを具体的に把握しておく」ことが、その責任となります。より「上位の管理者」は把握すべき具体的内容が広範になります。大変ですが仕方ありません。それがその方の「責任」です。
把握している具体的内容をもとに、安全パトロールなどで、現場担当者の実施事項を適切に確認し、改善すべき点については、「行われていないことを具体的に」指摘するとともに、その背景を把握して、実施を阻害している要因を具体的に取り除く方策を検討します。
また、具体的内容が適切に実施されていることを確認できたときは、「良好に実施されている具体的実施事項」を明らかにして組織内で顕彰してください。
それぞれの上司、管理者が実施事項を具体的に把握していることで、経営トップ、管理者、安全責任者の本気度を部下に示すことができますし、部下からは信頼とともに、指摘に対しては部下の素直な反省と不作為の再発を防止する動機づけとなると考えます。
2020/03/13 ( 文責 : 丸山ひろき )