ダメ !「命の運試し」 

 労働災害防止に懸命に取組んでいても労働災害が発生することはあります。そして、頑張ってきた関係者は「これまで、あんなに力を注いで災害防止に取組んできたのに」と悔しく感じることでしょう。
 一方で、労働災害防止の具体的活動などをほとんど行っていない事業所で、これまで労働災害が発生していないケースも多くあることと思います。
 このような事実を考えれば、労働災害防止活動に取組むことの効果とか意義に疑問や空しさを感じることにもなるでしょう。
 では、「対策を講じても労働災害は発生するかもしれない。完全に労働災害を防止することはできない。」と考えながら労働災害防止活動にかかわってよいのでしょうか。
 人は、危険に対しては当然に自らの命を守ろうとしますし、多くの場合「危険=災害」とはならないのが通常です。結局、災害に至ったのは「運」が悪かったと考えることも多いのかもしれません。また、何とか、事故無しに現在に至っていることを「運がよかった」と考えて、そして、これからもこの「運」が続くと、何の根拠も無いのに信じ込んでいることがあります。
 しかし、間違いなく言えることは「災害防止に取り組まなければ、必ずいつか労働災害は発生する、必ずいつかあなたの従業員が、あなたの仲間が被災する。」ということです。そして、頑張っても災害が発生するかもしれないけれど頑張り続けるしかない、もがき続けるしかないのです。仲間の、お互いの幸せのために。
命の運試し  例えば、宝くじで「運試し」をするのは良いでしょう。
 でも、危険が存在する作業に防止対策を講ずることなく、これまでも怪我は発生していないので大丈夫だろうと甘んじて、「気をつけてやってくれよ。」と「運」に任せることは絶対に許されません。「運」とうい実体のないものを頼って、人の命にかかわる「運試し」をしてはなりません。そのような行為を、私は「命の運試し」と呼んで非難します。決して許されないことであり、絶対に行ってはなりません。

2020/09/16  (  文責 : 丸山ひろき )