安全点検や安全衛生パトロールの目的
勿論、第一の目的は「不安全箇所」、「問題点」の発見であり、速やかな「原状回復とその確認」です。でも、それだけでは不十分と考えます。本当の目的は「安全衛生管理体制の欠陥」を見つけること、「システムの欠陥、動作していない箇所」を発見することです。
本当の目的を見失っていては、安全点検の目的の大部分は達成されないことになるでしょう。指摘事項が繰り返されることは容易に推察されます。なぜなら、「不安全箇所」、「問題点」の発生した原因に対する対策がなされないからです。発生原因が残り続けるわけですから、その原因から生ずる事象はなくなるわけがありません。
また、安全点検担当者が四六時中、全ての職場の危険要因把握を行うことなど不可能ですし、そのような専任の担当者を置く費用なども大変でしょう。安全担当者に無災害を委ねる安全点検などは、全く不効率なものです。
「システムの欠陥、動作していない箇所」を発見し、そこに改善を加えていくこと、そのことによって組織内の安全衛生、災害防止がシステムとして機能するようになります。本来のシステムとは、システム自体が常に機能するものでなければならず、改善を加えることによってそのことが実現できるはずです。安全管理を担うのは「人」です。災害防止の具体的行動をとっているのは「人」です。何らかの「場面」に出会ったとき、そこに「人」の関与をイメージして問題点などを明らかにしていくことが大切ではないかと思います。
この「人」とは、職場内の経営者、管理者、責任者、各労働者などあらゆる立場の方々であり、これらの関係者がそれぞれに事業活動の中で、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」と行うべきこととその意味などを具体的に明らかにし、実際に動けるように維持管理することがシステムの構築です。
そうです。これが労働災害防止の全員参加活動です。
「安全」のため、「災害防止」のためにあるべき姿とその理由を関係者全員が理解し共有すること。そして、あるべき姿「体制(システム)」を作り維持することが必要です。それは、誰が行い誰が確認するかということ、行えないとき行うことの困難さ(できない理由)が現場から声として上がってくる風通しのよさを作ることであり、そのためには災害防止や安全衛生に関する知識の付与を目的とした教育からのアプローチも必要です。
そして、安全点検担当者は、四六時中、全ての職場内を点検して回る必要は無くなり、集まってくる情報から、見えてくるシステムの欠陥を探し、すみやかな改善作業に専念すればよいこととなります。
2020/11/06 ( 文責 : 丸山ひろき )