災害防止活動は良好なコミュニケーションから(1) 

 部下のある職制で、労働災害防止・安全衛生管理活動(…に限らないと思いますが)を担当する方々は、きっと次のような、うまく行かない経験をされたことがあるのではないかと思います。いくつかのケースと考えられる原因を書き上げて見ます。

✓ 指示の意図が相手に伝わらない……指示に具体性が無いのかもしれない。指示者が具体的対応の知識を備えていないからかもしれない。相手の理解力を把握していないためかもしれない。

✓ 質問に対して反応がない……質問が理解されていないのではないか。質問者に距離を感じている。グループの中には、積極的参加意識がない者がいる。

✓ 注意を「叱り」と捉えられる……注意者の意図が理解されていない。嫌われている。信頼関係ができていない。注意の仕方に工夫が必要なのかもしれない。

✓ ルールが守られない……ルールの目的が理解されていない。ルールが複雑で覚えられない。守らなくても叱られない。誰も守っていない。

✓ 報告が行われない……報告の求め方に工夫がない。どのように報告したらよいかわからない。報告したら何か注意されそう、新しい指示が返ってきそう。めんどうだ。

✓ 疑問点を明らかにしない……どのように質問したらよいかわからない。発言すると、逆に沢山の質問が返ってくる。分からないことがあっても構わない。

✓ グループ活動に積極的な参加意思を示さない……自分が何かをしなくても大丈夫と思っている。誰かがやってくれる。前向きになると役割を与えられるのが苦痛。参加する喜びを知らない。

 例えば「指示」を当事者間で間違いなく「受け渡す」ためには、前提として当事者間での「コミュニケーションの成立」ということを考える必要があります。
コニュニケーション  部下の一人ひとりは同じではない。特に、異なる人々が集まったループ内で、同じ「指示」を与えて、皆に同じように受け取ってもらうために必要なものが、一人ひとりとの日ごろからの適切な関係の構築だと思います。そしてコミュニケーションの成立には基本的に一人ひとりに異なる適切な対応があります。誰に対しても一律の対応によってコミュニケーションが成立すると考えるのは間違いではないかと思っています。
 とかくコミュニケーションが成立していないと、何かの指示を行った際、指示した側は「何も言わなかったから大丈夫と思った」。指示を受けた側は「気にはなったけど言い難かった。まあ、いいか、大丈夫だろう。」といった具合です。
 また、「言わなくてもわかるだろう!」と安易に考えることがあります。しかし、実際には自分の指示の前提とその指示を受ける相手の前提が同じとは限らないのです。その結果、指示した者は「そんなつもりで言ったわけではない!」となるわけです。

2021/02/19 ( 文責 : 丸山ひろき )