災害防止活動は良好なコミュニケーションから(2) 

 職場の中には、「何回言っても言うことを聞かない。」と評価される方があります。コミュニケーションが成立していないと相手は聞いてくれない。通じない言葉では相手が理解しないのはあたりまえ。「同じことを何回も言っている」つもりでも実は「言ってない」のと同じかもしれな。相手は自分と異なることを理解し、状況を把握し、そのうえで適切に発信しないと伝わらない。相手が聞かないのではなく、聞かない相手が悪いのでもなく、「本当に何回も言っているのだろうか?」と自問する必要もときにはあると認識すべきです。
 同じように、希に「怪我をする労働者はいつも決まっている。」という言葉に出会うことがあります。「怪我をする本人が悪い」と責任転嫁に感じることがあります。まず始めに、「何故、その人がいつも怪我をするのか」を考える必要があります。そして、その方とうまくコミュニケーションをとりながら、怪我を防ぐためにその方にマッチした指示、対策を伝え、適切な再発防止対策を講ずる必要があるのではないかと往々にして考えることがあります。「怪我をするのは本人の責任」として措置を放棄していないか、反省することも大切です。きっと、このようなアプローチは職場内で水平展開するべき重要で効果的な情報になるはずです。
 「注意しろ」の一言で期待する結果が得られるのであればこれほど楽なことはありません。要するに「注意しろ」では有効な対策にならないことが多いのです。
コミュニケーション  組織・グループの「長」の第一の仕事は組織内・グループ内の個々を「観ること」そして「理解」すること、さらには「相手を想像」することです。その次は「課題」を把握し「対策」を策定、実施することです。そのために部下の一人ひとりとの良好なコミュニケーションを確保することが欠かせないのです。
 上司は部下の話、部下の本音に耳を傾けること。そのためには、話しやすい上司を目指すこと。聞き上手な上司を目指すこと。部下から、不都合なことも含めてありのままに話してもらえること。判らないことなどを相談、質問されやすい上司であること。また、上司からは、一人ひとりの部下に対して、それぞれのタイミングで、言葉と気持ちを発信すること。これも良好なコミュニケーション確保のための心掛けです。
 本来、経験、価値観や習慣などの違う者がつながりあうためにコミュニケーションが意識され、それは言葉としてのテクニックの問題ではなく、心・気持ちの通じ合いを実現するためのものであるはずです。「情報」と「気持ち」をセットにして「伝え」と「受取り」が相互に正確に行えること、それを実現するのが良好なコミュニケーションだと思うのです。
 コミュニケーションによって相手を知り、相手を理解して、相手を少し好きになることです。
 そして災害防止活動には参加者間のコミュニケーションが欠かせないものと思っています。

2021/02/19  (  文責 : 丸山ひろき )