特性・バイアス・ヒューマンエラー 

 ヒューマンエラーによる労働災害を防止するための対策としては物理的対策が有効ですが、併せて、自らにある「正常性バイアス」や「確証バイアス」、また錯視、幻聴、近道欲望、ぼんやり等などのコントロールしがたい「人間特性」を支配知識として持ち合わせ、常日頃、自分の行動を客観的に見る目を養う、そして、災害防止の障害となりやすいこれらの資質に基づく行動を規律する理性を備えることが必要です。
 そのためには、教育と訓練を継続することが欠かせないと思います。
 いま、「この状態」にある危険要因を把握しながら、なんら根拠なく「まだ大丈夫」、「これくらいなら大丈夫」と「正常性バイアス」に支配された判断を行ない、「だって、これまでもこの状態で仕事を行ってきたのに事故は起こってない」からと「確証バイアス」で判断を補強している自分を発見する能力を職場の関係者の全員がもてたら、事故発生の可能性はとても小さくなります。
 自らの状態や判断を省みて、安全対策に万全を期し、「大丈夫」の判断に確固たる根拠を持つことが大切です。覚醒 人間特性を排除する覚醒した意識で「そこにある危険」を探し、発見したときは、まず立ち止まって、とかく陥りやすい安全判断の反証を十分に検討し、バイアスのない「正常」な「確証」で措置を行った後、次に進むことです。
 本来「予想できない災害」など無いのです。(バイアスに支配されて)本能的に「災害を予想しようとしていない」のです。
 なお、付け加えてもう一つ、改善を阻害しようとする「現状維持バイアス」と呼ばれるものもあります。意識しましょう。

2021/06/09  (  文責 : 丸山ひろき )