「労働安全衛生法令を守る」こと・「労働安全衛生法令に基づいて対策を講ずる」ということ (1/3)
それぞれの就労場所や作業内容によって労働安全衛生法令に基づいて設ける設備やとるべき行動があります。それらのことを行っていなければ法令違反です。
例えば、作業主任者制度に関する安全衛生法令への対応について検討してみます。
作業主任者を選任しなければならない危険・有害な業務が定められています。それに該当する場合は「作業主任者を選任し、その者に作業指揮、その他省令の定める事項を行わす。作業主任者の氏名及びその者に行わせる事項を掲示等により関係労働者等へ周知する。」ことが法令で規定されています。
職務内容は、概括的には「作業者を直接指揮すること」、「安全装置等を点検すること」、「異常がある場合は直ちに必要な措置をとること」、「保護具等の使用状況を監視すること」などが求められています。(具体的にはそれぞれの作業主任者ごとに規則で確認してください。)
関係労働者への周知事項は、氏名と職務内容とされています。
この周知措置に対応するために用品として販売されているものもあります。それらの用品を購入して作業主任者の氏名を記載して掲出すれば、周知について法令の求めるとおり措置したこととなり、法令違反を指摘されることはないでしょう。
しかし、そのように措置しても、当事者たる作業主任者が何を行わなければならないのか、また、その監視の下で働く方々が何を理解し、何を意識して行動すべきなのかということに着目した必要な対応について振り返る必要はないでしょうか。
作業主任者本人は、指名されて職務を履行するために具体的に何にどの程度の時間を割いて自己の作業と調整すればよいのか理解できているか、また、そのことが上司を含めて職場内で合意されているか、担当業務としては職場を離れることができないと思われるのに、社外の用務を指示されて従わざるを得ないことはないのか、などの問題は生じていないのでしょうか。
作業主任者の指揮、監視の下で働く作業者たちは、作業主任者が何を監視し、何を行ってくれるのか、どのようなときに作業主任者に声をかければよいのか、何をお願いしてよいのか、などを理解されているのでしょうか。これらのことに不安が生じているとすれば、どのように対応すればよいのでしょうか。 (次へ続く)
2022/02/15 ( 文責 : 丸山ひろき )