「労働安全衛生法令を守る」こと・「労働安全衛生法令に基づいて対策を講ずる」ということ (2/3)
以下が、私が思いつくひとつの例です。
作業主任者には、「作業主任者を担当する日は、早出対応で●時●分のラインの作業開始までに設備の安全装置等についての点検を終了して、点検済み表示を行ってください。また、作業の直接指揮と監視を行うことが担当業務となるので、それを主たる業務としてください。基本的に製造ラインには入らないでください。現場の長には伝えてあります。作業主任者業務を行う間は職場を離れないでください。保護具の使用状況を監視する中で、不適格者がいた場合は、速やかに是正指示を行ってください。安全装置等の異常が発生した場合は、運転停止措置を講じるとともに、担当部署の□□にすぐに報告してください。職場を離れる必要が生じた場合は管理者に対応を相談して指示に従ってください。」等々を指示します。
関係作業者には、「今日の作業主任者は〇〇さんです。午後からは▲▲さんです。本日の作業開始までに対象機械の点検を行ってもらいますで、作業開始時点で、点検終了の表示がされているかどうかを確認してから作業を行ってください。○○さんは、皆さんの作業を直接指揮し、安全装置の使用状況などを監視しています。事故などの防止のために作業主任者の重要な職務として行っていただくので、その指示等は受け入れて従ってください。安全装置などの不具合や、不安全な状態だと感じた時などは○○さんに直接状況を伝えて、指示を受けてください。」などと説明します。
そして、作業主任者と作業者、それぞれへの指示説明を要点よく記載したものを該当の職場に掲示するのです。
作業主任者の氏名欄は、交代の都度、記載できるようにしておくべきです。また、作業主任者が腕章などを着用することも併せて行うとより良いと思います。
これらの対応をもって、作業主任者の氏名と職務内容の周知措置と言えるのではないでしょうか。
このように、法律が実現しようとしている目的を達成するためには細やかな対応を行うことが必要で、市販品の掲示は法令違反ではないにしても十分な周知としては機能しないのではないかという疑問が生まれてきませんか。
市販品には、職務内容が法令文のまま記載されています。その表現がその職場の状況にマッチして、行うべき人とその業務が具体的に想像できるものであればよいのですが、なかなかそのようにはなりにくいと思います。周知のためには各職場の実態に合致した、関係者が理解し、合意できる内容を具体的に記載することなどが必要だと考えるべきです。 (次へ続く) (戻る)
2022/02/15 ( 文責 : 丸山ひろき )