相手(部下)を動かす指示について考える (1/3)

 何かの行動を相手に促す際に、「お願いをする側」と「お願いを受け取る側」が互いにその内容を「くい違い無く」授受することは案外難しいものです。また、相手にそのお願いを受け入れてもらえるかどうかも……。
 友人、ライバル、パートナー、親子、全くの他人、等々の当事者の個人的関係によって、いろいろな感情が作用することもあれば尚更です。
 職場における仕事上の「お願い」で上司から部下へのものは「指示」と呼ばれます。この指示をくい違い無く授受するために当事者間で留意すべき点を理解しておくことは、それぞれが職制上の義務を果たすうえで大切な、また、有意義なことだと考えます。
 特に、事故防止、災害防止のための行動について、指示をする側と、指示を受ける側に食い違いがあると、起きてはならない事象を防ぐことができなくなります。
 ところが、次は、何かトラブルが発生した後の上司と部下の間でのやり取りです。
1(上司:君にやってくれと言っただろ)⇒(部下:急ぎがあったので後でやろうと思っていました)⇒(上司:すぐにやるんだよ)⇒(部下:そのようには聞いていません)
 あるいは、
2(上司:なぜ報告してくれなかったんだ)⇒(部下:報告しろとは言われていません)⇒(上司:報告するのは常識だろ)⇒(部下:忙しくて報告できなかったんです)
 更には、
3(上司:言っただろ)⇒(部下:やりました)⇒(上司:出来てないじゃないか)
指示  このようなケースで、どちらに軍配を上げるわけにもいきません。双方に、あるいは職場環境、組織体制に何か足りないものがあるのだと思います。
 このような行き違いなく、指示する上司の期待通りに部下に行動してもらうためには何が必要で、何に留意すればよいのでしょうか。
 このような問題意識で、公立鳥取環境大学経営学部の島田善道先生に『相手(部下)を動かす「指示」について考える』というタイトルで2020年6月24日に開催した「産業安全管理に関する研修」の中で講演を行っていただきました。
 この講演の概要を、私の勝手な解釈で、次のように取りまとめてみました。これをお読みいただいている方に何かの参考にしていただけるものが一つでもあれば幸いです。(次へ続く)

2021/12/09  (  文責 : 丸山ひろき )