相手(部下)を動かす指示について考える (2/3) …… 講演の要旨 ……
人が組織のために行動することに関する参考情報をいくつかの学問分野から提供していただきました。
冒頭、「何故、部下は期待通りに動いてくれないのか」という疑問に答えることが難しい場合は、「何故、人は期待通りに動くのか」を考えることで答えが見つかることがある。
このように、アプローチの方法を変えてみることは問題解決等における有効な方法の一つであることを教えていただきました。
そして、「何故、人は期待された行動をとるのか。」という疑問に対して、「産業組織論」という分野からは、『上司からの単刀直入な指示は、受ける側に誇りや責任感を失わせる弊害がある。その弊害を排除するために、指示する理由、指示が実現しようとしている目的、その指示がその時点で客観的に必要なものであること、指示される側の能力向上に資するものであること、これらを丁寧に、且つ総体的に伝えること、そのことによって、受ける側が屈辱感なく、自ら必要性を納得して、自ら行動することができる。』と説明できる。
また「近代組織論」の分野からは、『組織は、ある種の目的を達成するための集合体であり、合意された組織の目的に向けて集合体構成員がそれぞれに活動を展開するものである。
そのため、目的達成に向けた各構成員の貢献意欲が必要であり、各構成員が貢献によって得られる満足も必要である。目的達成のための上司からの指示は、「上司が指示するから行われる」のではなく「部下が上司の指示を受け入れるから行われる」のである。この「受け入れる」ための条件には、① 指示が理解されること、② 指示内容が組織の目的と矛盾しないこと、③ 指示を受ける者の個人的利益に矛盾しないこと、④ 指示が実施可能なものであること、などがある。そして、指示を実施することによって得られる自分自身の内なる満足度が大きければ取り組む意欲も大きくなる。「実施」は、そもそも人は金銭的報酬等より、自己の内面の満足を得られるという期待によって動機付けられるものである。』と説明できるということでした。
その他、人は成長の各段階で何を求めているのか、経営者はどのようにして人を動かすのかといったことの考え方を、数々教えていただきました。 (次へ続く) (戻る)
2021/12/09 ( 文責 : 丸山ひろき )